2018年1月26日に仮想通貨の取引所の1つである「コインチェック」がサイバーテロの攻撃を受けて仮想通貨NEM(ネム)を流出させてしまうという事件が起こりました。

この事件では約580億円ものはネムが流出し、一週間経ても犯人の足取りがつかめていない状況が続いています。この一件により、仮想通貨自体の安全性や将来性に不安を抱くユーザーが増加したのも事実です。

しかし、この先の未来、ほぼ確実に仮想通貨が主流となって運用される時代が到来するのは明白です。

ではいったい、この仮想通貨、誰がどのような目的で考えたのでしょうか?

この謎は意外にも仮想通貨の歴史を紐解くことによって浮き彫りになってきます。

 

仮想通貨の歴史

現在、仮想通貨の代表格となるのが、有名な「ビットコイン」です。このビットコインは世界ではじめて作られた暗号化通貨になります。

以下ではこのビットコインの歴史についてご紹介したいと思います。

2008年

「ナカモト サトシ」という謎の人物が「Bitcoin A Peer to Peer Electronic Cash System(ビットコイン:P2P電子決済システム)」というわずか10ページほどの論文を発表します。後にこの論文を知ったプログラマーやハッカーたちは、企画がおもしろいということでプログラムの書き換えが行われます。

2009年

上記のプログラマーたちの代表格であるカリフォルニア工科大学出身の暗号化研究者「ハル・フィニー(Hal Finney)」が、ナカモト サトシが作成したプログラムをまったく別のプログラムに置き換える形でビットコインのプロトタイプ「ビットコイン・バージョン0.1」を誕生させます。

すなわち、このプログラムこそがビットコインの根幹システムの誕生であり、今日に至っては「ブロックチェーン」と呼ばれています。

同時にこの年にはじめて実際に運用実験として「サトシ ナカモト・ビットコインネットワーク」が開放され、ナカモト本人からハル・フィニーへビットコインが送金されています。また一般ユーザーからのネットワークへの自由参加が行われています。

2009年10月

米国の掲示板「New Liberty Standard」にて、歴史上初のビットコインの為替レートが一般公開されます。なんと!約131BTCがたったの「0.0007ドル」というのですから驚きです。

ちなみに1BTCを2017年末時点の価値で表すと1BTCが100万円を越えています。この当時では多大な関心が寄せられた瞬間でもありました。

2010年5月

フロリダで初となるビットコインの取引が行われます。この取引は「BitcoinTalk.org」という掲示板にて「Laszlo Hanyecz」というプログラマーが次のような投稿を残しています。
「ピザ2枚を注文したい。ただし現金(法定通貨)ではなくビットコインで支払いたい。10000BTCでも良ければ返事を待つよ」
そこでその掲示板を見たピザチェーン大手の「Papa John’s Pizzas(パパ・ジョンズ・ピザ)」が名乗りをあげ、歴史上、初のビットコインとの物取引が行われることになります。

この取引では、当時25ドル(約2500円)のピザ2枚が仮想通貨・約1万ビットコイン(1BTC)で支払われています。まさに仮想通貨と物取引とが成立した瞬間です。
現在、アメリカではこの日(5月22日)を「ビットコインピザデー(ビットコイン初取引を祝うピザの日)」と呼んで盛大に祝うそうです。ほとんどのピザ屋が割引価格で注文できるとのことです。

2010年7月

パソコン関係の情報を取り扱う「Slashdot」という掲示場にもビットコインが紹介され、瞬く間にビットコインの認知度が広まります。

この影響でたった5日間でビットコインの価値が、「0.008ドル」から「0.08ドル」にまで上昇しています。つまり10倍の価値になったことになります。

さらにこの影響は日本へも飛び火して、日本初のビットコイン取引所となる「マウントゴックス(Mt. Gox)」が設立されます。

2010年8月

ビットコインに歴史上初となるバグ(プログラムの記述間違い)が発見されます。

しかし皮肉なことになんと!1840億ものBTCがバグにより偽造されたことが発端となって発見されることになります。

後にビットコインを開発したプログラマーたちによってプログラム修正が行われ、最小限の被害で済んでいます。

2010年9月

世界で初となる「マイニングプール(複数の採掘者が協力してマイニングを行う仕組みのこと)」での採掘(マイニング)に成功しています。

2011年2月

アメリカンマフィアが薬物取引やブラックマーケットの取引に使用していた闇サイト「Silk Road(シルクロード)」「Hansa」「Alphabay」が誕生します。このシルクロードを介した闇取引では法定通貨(現金)ではなくビットコインを用いた取引が用いられています。すなわちビットコインが悪用された初の例ということになります。

この事を米メディア「http://gawker.com(ゴーカー・メディア)」の記者がニュースとして大きく取り上げたことにより、ビットコインが闇取引にも利用されるほど安全だと認知されるようになり、さらに価値は上昇し、「1BTC=1ドル」を記録しています。つまり「1BTC=0.008ドル」の頃から比較すれば125倍の価値になったことになります。

2011年6月

ウェブサイト「WikiLeaks(ウィキリークス)」が歴史上はじめてビットコインでの寄付の受付を実施しています。

2011年8月

1BTCが3ドルになります。

2012年

世界中でビットコインの認知度が広まり、ビットコインに関連したビジネスが増加する。

2013年3月

キプロス共和国でキプロス・ショックが起こる。この結果、キプロス共和国が破綻する。同時にキプロス共和国の通貨が紙切れとなり、ビットコインの価値が世界中に見直されることになり価値がさらに上昇する。

ビットコインの価値が見直された理由は、ビットコインは国が発行する(その国に流通する)法定通貨(つまり現金のこと)ではなくデジタル上の仮想通貨なので、たとえ国が倒れても資産を維持できる点が注目されたためです。

1BTC=200ドル

2013年10月

中国でビットコインの価値が急上昇します。この理由は中国のお金をたくさん持っている富裕層がビットコインを買いあさったためです。

富裕層がビットコインを買いあさった理由は、自らが持つ中国の現金「元」を「米ドル」へ両替したかったからです。

中国では元から米ドルやユーロなどへの両替が困難とされています。

しかしビットコインを介することで米ドルへ両替できることを知った富裕層たちはコゾってビットコインを買いあさります。

そして、1ビットコインの値段もなんと!「1BTC=1200ドル」という空前絶後の上昇を記録します。

同時にビットコインの発行数も1200万枚となり、一気に上昇しています。

2013年12月

中国政府が事業としてビットコインの取扱を禁止します。このため大量のビットコインを所有していた富裕層たちは一気にビットコインを売りにでます。

これにより、一気にビットコインの価値が急落します。

2014年2月

上述、「マウントゴックス(Mt. Gox)」が経営破綻します。この煽りを受けてビットコインの価値が急落します。

この時にマウントゴックスの代表であったマルク・カルプレス氏は、自社が管理するビットコインが消失したと発表しています。この発表によりマウントゴックスはビットコインの払い戻しを停止しています。

また同時期に次世代のビットコインとも目される「Ethereum(イーサリアム)」が企画されます。

2014年4月

1ビットコイン=437ドル

2014年6月

前述、「Ethereum」に引き続き、仮想通貨取引所「Zaif(ザイフ)」が日本で取引所を開設します。

また、「マウントゴックス」の破綻によって、自民党IT戦略委員会(資金決済小委員会)からビットコインをはじめとした仮想通貨のガイドラインが報告されています。

このガイドラインでは仮想通貨(暗号通貨)の位置づけを「価値記録」として、通貨でもない、物でもない新たなジャンルの登場であり、将来を見据えた法律による整備が急務であると報告されています。

この他、国内初のビットコインATMが東京に登場します。

2014年7月

パソコンメーカー大手DELL(デル)がアメリカ国内でビットコインの決済に対応しています。

DELLのビットコイン参入により、全米中に震撼が走り、企業におけるビットコインの認知度がさらに一新されていきます。

2014年9月

インターネット決済の最大手「Paypal(ペイパル)」がビットコインでの決済に対応を開始します。

また世界でのビットコインATMの台数が260台を超えます。

2015年8月

マウントゴックスのビットコイン消失事件においてマルク・カルプレス氏は、自身の関与を一切否定していましたが、自身のウォレット(口座)データを改ざんして残高を水増ししていたことが調査により発覚します。さらに顧客からの現金を着服したことも発覚し逮捕されています。

2015年10月

EU(欧州連合)の最高裁判所がビットコインの位置付けを「通貨と同等の価値を物である」との判決を下しています。

これにより、EU圏をはじめ全世界において”ビットコイン”という新たな通貨が誕生したことが認知されていきます。

2016年8月

米ニューヨーク州において「Bit License(ビットライセンス)」という法律が制定されます。

ニューヨークは現在では”アメリカンドリーム”という言葉に代表される地域だけに、世界の金融はこのニューヨークを中心に動いているとまで言われているほどです。

ニューヨークでこの法律が制定されたことによって、アメリカでビットコイン事業を行う際は当州の免許が必要と定めて、その免許の登録代金として約5000ドルを課しています。

これによりニューヨークからビットコイン業者が激減した反面、州がバックボーンとして公式認可したことによってビットコインにおける信用度が上昇しています。

2016年3月

新たに日本におけるビットコインの仮想通貨取引所「Bitpoint(ビットポイント)」が開設されます。

DMM.comがビットコインに参入する意思表示を裏付けるかのように、自社運営のPCゲーム販売サイト「Steam」においてビットコインの決済に対応しています。

2016年4月

新たに日本におけるビットコインの仮想通貨取引所「bitbank(ビットバンク)」が開設されます。

2016年8月

ビットコイン取引所「Bitfinex」がサイバー攻撃によるハッキングを受け、約12万BTC(約6347万ドル相当)が消失します。

この一件の後、上昇気流に乗っていたビットコインの価値が一気に急落します。同時にビットコインを基軸通貨としていた暗号通貨市場全体が信用を失い、価値が急落していきます。

尚、Bitfinexは自社が保有する約36%の資金を投じて、被害を受けたすべての登録ユーザーへの返済処置を執っています。

2017年4月

世界の仮想通貨業界に先駆けて、日本国内において仮想通貨法(資金決済法の改定)が制定されます。この法律によって仮想通貨(暗号通貨)の取引所を運営するためには、内閣府の承認が義務付けられました。

内閣府の承認を得るには仮想通貨取引事業者としての登録申請書を提出して、内閣府の承認を得なければ開設はできないものと定められます。

2017年7月

日本のビットコイン取引所にて”ビットコイン購入時は消費税は必要ない”との告知である「仮想通貨に関する内閣府令案」が内閣府より通達されます。

これにより、ビットコインが通貨に準ずるものとして認知され、ビットコインでの支払いも決済方法の1つとして内閣府により認可されます。

2017年8月

ビットコインの利用者の増加により、ブロックチェーンの生成が遅延、つまり取引がすぐに完結しないなどの遅延が発生してしまいます。
この件でシステムの構成について開発者とマイナー(マイニング者)との間で話し合いが行われますが、折り合いがつかず、ついにビットコインとビットコインキャッシュが分裂してしまいます。

同時に”ビットコインキャッシュ”というビットコインから派生して誕生した、新たな暗号通貨(仮想通貨)が誕生した瞬間でもあります。

2017年9月

中国国内において、企業が資金調達を目的としてビットコインを運用することを規制する法案「ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」を制定します。

これはビットコインの運用を勧誘した詐欺が横行したために執られた処置です。

また、同月、金融庁が「日本国内認可・仮想通貨交換業者11社」を公表しています。

これにより、より安全に取引できるための指標を定めています。

2017年10月

新たにビットコインから派生して「ビットコインゴールド」という仮想通貨(暗号通貨)が誕生します。

また、東京三菱UFJ銀行も独自の暗号化通貨を発行を検討。これは銀行の立場を脅かすビットコインの趨勢を抑えるための施策とも言えます。

このことから未来ではほぼ確実に暗号化通貨が用いられる時代が到来することが予測されます。

日本国内の紙幣を発行する日銀(日本中央銀行)もUFJ銀行のようにフィンテック市場(暗号化技術を用いた通貨)に参入を表明します。

2017年12月

ビットコイン取引量が多い韓国では、仮想通貨の取引を行う際、本人確認を義務付けています。

2018年1月

中国政府は仮想通貨の取引の規制を強化することを発表しています。

集中型(中央管理局があるような暗号通貨システム)の取引を可能にするような国内外のプラットフォームへの国内からのアクセスを禁止する法案を打ち出す予定とのことです。

2018年1月14日

メガバンク「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)」が独自の仮想通貨となる「MUFGコイン」を発行することを決定。邦銀による仮想通貨取引所開設の初例。 

2018年1月25日

通信大手「IIJ(インターネットイニシアチブ)」が、他18社と共同出資して株式会社ディーカレットを新設。仮想通貨事業へ参入することを発表。

√株式会社ディーカレット共同出資企業一覧

  • 株式会社インターネットイニシアティブ
  • 野村ホールディングス株式会社
  • 伊藤忠商事株式会社
  • 東日本旅客鉄道株式会社
  • 株式会社QTnet
  • 株式会社ビックカメラ
  • 株式会社ケイ・オプティコム
  • 三井住友海上火災保険株式会社
  • SOMPOホールディングス株式会社
  • 株式会社三井住友銀行
  • 第一生命保険株式会社
  • 三井不動産株式会社
  • 株式会社大和証券グループ本社
  • 株式会社三菱東京UFJ銀行
  • 東京海上日動火災保険株式会社
  • 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
  • 日本生命保険相互会社
  • 株式会社 電通

√出資検討中の企業

  • ヤマトホールディングス株式会社

2018年1月26日

日本国内における仮想通貨の最大手取引所「Coincheck(コインチェック)」において約580億円分もの暗号通貨「NEM(ネム)」が流出してしまう事件が発生します。

当取引所においてNEMの保有者は約26万人いるとされ、これらの保有者に総計約460億円を補填(返済)する方向で進めていると発表しています。

3日後となる1月29日には金融庁から業務改善命令が出されいます。

2018年4月

現在、仮想通貨取引所が加盟する2団体「日本仮想通貨事業者協会」と「日本ブロックチェーン協会」が合併することを発表。

2018年4月23日

前項、コインチェックの約580億円に相当する仮想通貨「NEM(ネム)」の流出に端を発し、仮想通貨業界に新団体となる「日本仮想通貨交換業協会(JCBA)」が発足。

当団体では以下の要件を自主規制する目的で設立される。

  • マネー・ローンダリング
  • テロ資金供与対策
  • 本人確認の強化
  • サイバーセキュリティ対策
  • 相場操作(インサイダー取引)

√日本仮想通貨交換業協会への加入社名一覧

  • マネーパートナーズ
  • QUOINE
  • bitFlyer
  • ビットバンク
  • SBIバーチャル・カレンシーズ
  • GMOコイン
  • ビットトレード
  • BTCボックス
  • ビットポイントジャパン
  • DMM Bitcoin
  • ビットアルゴ
  • Bitgate
  • BITOCEAN
  • フィスコ仮想通貨取引所
  • テックビューロ
  • Xtheta

2018年6月

ビットフライヤー、QUOINE(コインエクスチェンジ)、ビットバンク、ビットポイントジャパン、BTCボックスなどの仮想通貨交換事業者5社以上に、新たに金融庁から「業務改善命令」が出される。業務改善命令が出された理由は、マネーロンダリング防止対策に対しての内部の取り組みがの隙間が見つかったため、対処を求めた模様。

仮想通貨はウォレットという小さなUSBタイプの持ち歩けるデータチップに格納できる。このチップは税関を簡単に通過できるため海外へもっていくことができる。仮に、海外で銀行口座や仮想通貨取引所の口座を複数、開設して、それらの各口座から資金を出し入れして移動させた場合、資金の流れがつかめないので、マネーロンダリングの温床になりやすい。

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