2018年1月26日、大手仮想通貨取引所である「コインチェック社」が約580億相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出したと発表。
この一件により仮想通貨の信用は一気に失落したが、同時に仮想通貨の認知度が上がったのも事実である。
この事件以降、仮想通貨が全体的に大暴落したが、逆に認知度が高まったことや値下がりした影響から口座開設者が増加したのも事実である。
そこでこんな疑問が出てくる。
『仮想通貨を買う理由はなんなのか?』
これに関しては2018年3月27日に広告代理店大手の博報堂(はくほうどう)の金融マーケティングプロジェクトにより、面白い調査結果が発表されている。
この調査は18〜59歳の男女1万人に対してのインターネットアンケート調査により発表された結果である。
調査対象人数と仮想通貨を購入した人数
- 調査対象人数:1万人
- 仮想通貨を購入した人数:1万人のうちの466人
主に仮想通貨を購入している年齢層
- 20代から30代前半(全体の70%)
主に仮想通貨を購入している性別
- 男性(約70%)
主に仮想通貨を購入している職業
- 会社員(事務系・技術職)(約20%)
- パート&アルバイト(約8.5%)
- 大学生(約5%)
- 無職(約5%)
仮想通貨を購入した動機
- お金儲け(約35%)
- 仮想通貨というものに興味がでた・インターネットゲームなどに利用・流行っているから(約29%)
仮想通貨購入者の平均世帯年収
- 400万円から600万円(最多)
- 200万円から400万円(準最多)
この調査結果によると仮想通貨を購入しているのは意外にも若年層が全体の70%を占めており、中でも大学生が10%も含まれているという事実は驚愕である。
また仮想通貨を購入した人の平均年収が中層から下層あたりの人が多いのにも驚きである。
この調査結果から述べられることは、株やFXへ投資している層にはまだまだ仮想通貨というものが理解されておらず、仮想通貨を主に購入している層はパート・アルバイト、学生などの低収入層であり、お金儲けための投機目的であることがよく分かる。
仮想通貨利用の本来の目的とは?
仮想通貨は本来、現金に換金できたり、仮想通貨そのものがその国の公式通貨として利用できることを基本条件として、送金の際の速度や手数料を極限まで無くすことを目的として創造されたといっても過言ではない。
例えば日本に出稼ぎに来ている外国人が、本国で暮らす家族へ送金する際、仮想通貨を利用することによって送金する場所や期間、手数料に悩むことなく円滑に送金することができる。(現在、仮想通貨の価値の増大と比例して手数料も高くなっている)
つまり本来は利便性に将来性を見出した人や他国籍で海外で生活する人の生活の手段の1つとして購入するのが本来の仮想通貨のあり方であるといえる。
しかし現在、仮想通貨を購入しているのは日本人が過半数を占め、その日本人は前述にように投機目的で購入している。
ただ、仮想通貨が日本で流通するためにはそれなりのメリットが必要である。
メリットが必要な理由は、日本人が仮想通貨を利用するロケーションが限定されるからである。たとえば日本には多数の銀行が存在するので送金期間や送金場所に悩むことなく、日本国内間の送金であれば遅くても翌日には送金が完了しているなどが挙げられる。
√日本で仮想通貨が流通するために最低限必要なこと
- 日本においての仮想通貨が、国が発行する現行通貨(現金)との換金が可能であること。
- 仮想通貨の信用=国家が仮想通貨を認可もしくは補償制度・補償機関の創設。
おそらく仮想通貨を必要とする日本人は次のような人ではないだろうか。
- 海外旅行に頻繁に行く人
- 転勤などで海外での生活を余儀なくされた人
しかし2017年4月に金融庁より「資金決済法の改正」が施行されたことによって日本における仮想通貨(暗号通貨)の価値が一変する。
「資金決済法」とは、現金と同様の価値を持つ媒体やその決済方法が述べられた法律のことであり、分かりやすい例を挙げれば「図書券」や「ビール券」などの「金券」がこれに該当する。
この資金決済法の改正によって仮想通貨が正式に「現金(公式通貨/現行通貨)・金券類・物品との交換が可能な金融媒体である」と認可されており、すなわち日本人が仮想通貨を購入する動機が確立されたことになる。
また、このような動きをみて三菱UFJ銀行などが仮想通貨(暗号通貨)の信託事業開始に名乗りを上げ、今日、日本人が仮想通貨を投機目的で購入する動機につながっている。