アービトラージとは?
アービトラージとは、取引所によって異なるコインの取引価格の差額をキャピタルゲイン(差分の利益)として得る手段です。一般的に「サヤ取り」や「裁定取引」とも呼ばれています。
アービトラージについてはアービトラージとは?をご覧ください。
仮想通貨のアービトラージのやり方とコツ
アービトラージは、価格差が発生している短時間で行う必要がありますので、タイミングが求められます。
また、複数の取引所を介するので、複数の取引所に口座開設しておく必要があります。
アービトラージをする時に必要なもの(事前準備しておくもの)
- モニターを取引所の分だけそろえる
- 大きな資金
- 複数の取引所への口座開設
- 高性能なスペックの高いパソコン
やり方
アービトラージには以下の2つのやり方があります。
- 現物取引にてトレードする
- 仮想通貨証拠金取引(仮想通貨FX)にてトレードする
やり方その1:現物取引にてトレードする
- 例:A取引所:90万円、B取引所:91万円
A取引所でまず、90万円の1BTCを購入する
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その1BTCをB取引所へ送金する
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B取引所で90万円の1BTCを売る
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1万円の利益を得ることができる
やり方その2:仮想通貨FXでトレードする①
このトレードでは「空売り」と呼ばれる手法を用いて取引を行います。よって双方の取引所で信用取引ができることが大前提です。
- 例:A取引所:90万円、B取引所:91万円
FXは信用貸しという意味合いもありますので、たとえばA取引所から1BTCを借ります。借りるのでこの時点では具体的には金銭の授受はありません。
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今度は1BTCの値段が安いB取引所で架空の1BTCを購入(借ります)します。この時点で金銭の授受はまだありませんがマイナス90万円です。
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今度は値段の高いA取引所で架空の1BTCを売却をします。この時点でもまだ金銭の授受はありませんがプラス91万円です。
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得た金銭(91万円)をB取引所へ送金します。同時に1BTCをA取引所からB取引所へ送金します。
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B取引所で借りた分(90万円)を返却します。同時にA取引所で借りた1BTCを返却します。
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手元には91万円-90万円=1万円が手元に残ります。
ただし、実際は信用取引なのでレバレッジを活用して1BTCではなく2BTCにするなどして取引を倍の価格で行いますのでキャピタルゲインもその分多くなります。
やり方その3:仮想通貨FXにてトレードする②
- 例:A取引所:90万円、B取引所:91万円
やり方その2は単純に値段の安い取引所で購入したのち、それを値段の高い取引所へ送金して売却します。
すなわちA取引所で架空の1BTCを購入
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1BTCをB取引所へ送金
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B取引所で売却し、A取引所へ90万円を返却
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1万円の利益
アービトラージの手数料
アービトラージを行うには、送金手数料の他、取引手数料と証拠金手数料が必要になります。
- 送金手数料(仮想通貨と銀行)
- 取引手数料
- 証拠金手数料
概ね信用取引を行う場合は0.004%か0.005%の送金手数料がかかります。またそれとは別に取引手数料と証拠金手数料が必要になります。
送金手数料には上記、仮想通貨の送金手数料以外にも銀行の送金手数料も必要になります。
上記では1万円の利益といいましたが、ここから手数料を差っ引くと実際には約8500円くらいが手元に残ります。
アービトラージの注意点
送金遅延・タイミング
アービトラージを行うには、まず、価格差を見つけることも重要ですが、トレードを短時間で行う必要があります。
仮想通貨は流動性が激しく1日に20%から30%は動くので、価格が常に変動していることになります。
たとえば、購入する時と売った時に送金遅延が起これば、下手をすれば価格差がなくなったり、逆に損が発生したりすることもあるということです。
以上の点から前述で複数のモニター画面やスペックの高い高性能なPCが必要になるといったのもこのためです。
アービトラージは少ないキャピタルゲインを狙って複数回トレードを行うことでコツコツと利益を積み上げていくやり方なので、時間は特に重要な要素になります。
仮想通貨のアービトラージは違法性が認められて規制・禁止対象にならないのか?
仮想通貨の情報を集めていると「アービトラージ」という言葉が頻繁に出てきますが、FXのアービトラージの情報を検索すると仮想通貨ほど情報がないことに気づきます。
この理由の1つとして、FXではアービトラージが規制・禁止対象になっていることが挙げられます。FX業界でアービトラージを行うと口座凍結や最悪の場合、アカウントが削除されて二度とその取引所でアカウント登録ができなくなってしまいます。
アービトラージ自体に違法性はありませんが、「ボーナスアービトラージ」などの「ボーナス」を目的として組織ぐるみで行うなどの行為が横行しているために業界全体の取り決めで禁止されています。
では、なぜ仮想通貨のアービトラージは認められているのかということになりますが、仮想通貨業界はまだ法整備すら整っておらず、未成熟な業界であることが理由として挙げられます。
おそらくこれから成熟していくに伴ってアービトラージが規制されていくものだと考えられます。