2018年に仮想通貨の口座開設率の調査が1万人に対して行われ、そのうち約20%の人、つまり2000人が口座開設していたことが明らかにされています。

さらにその2000人のうち、仮想通貨をはじめた動機調査が行われ、約70%もの人が「お金儲け」が動機で口座開設していることが報告されていますが、1万人のうち口座開設者がわずか2000人と、まだまだ仮想通貨の認知度は低いのが現状です。

ただ、この2000人の中には仮想通貨のトレードによって「億り人」と呼ばれる億単位のお金を稼ぎ出した人がいるのも事実であり、億単位のお金を稼げる反面、取引によって発生するリスクを考えてしまい、なかなか口座開設まで踏み切ることができない人が多いのも事実です。

ちなみに日本仮想通貨交換業協会の調査によれば、2018年3月段階での仮想通貨口座開設率は約350万人といわれ、これは総人口の約4%以下ということになります。

以下では、仮想通貨取引によって発生するリスクと借金を背負ってしまうリスクについての例を挙げています。

仮想通貨で借金を背負ってしまう時とは?

仮想通貨取引において借金を背負ってしまう時は「証拠金取引」を行なった時です。証拠金取引を行わなければ基本的に借金のリスクを背負うことはまずありません。

ただし、サラ金で借金して仮想通貨に投資した場合は、仮想通貨取引とは直接関係がありませんので除外します。

まず、仮想通貨は主に2つの投資方法があります。

  • 1つは「現物取引」もしくは「スポット取引」といわれる取引方法です。
  • 2つは「証拠金取引」もしくは「仮想通貨FX」と呼ばれる取引方法です。

現物取引

現物取引は株式の取引でお馴染みの言葉ですが、現物取引とは口座もしくはウォレットにあるだけの資金(資産)を使って仮想通貨を購入をする、もしくは現在保有している建玉(仮想通貨)を売却することです。

所持している資金や建玉を活用してのトレード(取引)になりますので、借金を背負うリスクはありません。

また、下記の証拠金取引とは異なり、スワップ制度もなければロスカットも基本的にはありません。

証拠金取引

証拠金取引はFXで使用されている言葉であり、言い換えればFXそのものがこれに該当するといえます。

証拠金取引とは、取引所から資金を借りて投資を行います。たとえば1万円の軍資金に対して10万円を借りて仮想通貨を運用した場合、保有できる仮想通貨の量が10倍になり、この状態でうまく利確すれば売却率も10倍になります。つまり儲けが10倍です。

ただし、取引所からお金を借りていますので仮に暴落してしまった場合は、10倍のリスクを背負うこととなり、この状態になってはじめて「元本割れ」もしくは「証拠金不足」という言葉が登場し、下手をすれば借金を背負ってしまうことになります。

取引において一般的にこの不足のことを「追加証拠金(追証)の発生」と呼ばれますが、追加証拠金が発生すると出金することができず、元本を元の状態、いわゆる0(ゼロ)にする必要があります。

『じゃあ暴落したときに利確せずにそのまま放置しておいて値上がりした時に利確すればいいじゃないか!』などと考えてしまいそうになりますが、取引所には証拠金取引において「ロスカット」という機能が存在し、暴落し始めた時に元本割れ以上の損失を回避するために自動的に「売り」が実行されます。

ロスカットは信用できない

ただ、このロスカットがクセ者でボラティリティの激しい仮想通貨において、ロスカットがどこまで信用できるのかが問題です。

つまりロスカットのタイミングが少しでも遅れれば、下手をすると元本割れが生じてしまうということです。

この状況に陥ってしまえば、お金を借りている状態になりますので借り入れた元金とその金利を返済しなければなりせん。返済方法としては、通常はまず建玉(たてぎょく=未決済の他の仮想通貨)が売りに出されて返済に充てられ、足りない分は入金するなどして0(借金チャラ)にする必要があります。

また、仮に暴落までには至らずに、少しだけ値下がりして損が出てしまった場合でも、前述したように放置して値上がりする時を待っていれば良いという考えを思いつきますが、仮想通貨の場合はFXとは異なり、日ごとに金利を支払う必要があります。

つまり、放置しておけば放置した期間分の金利を支払うことになり、これを一般的に「スワップポイント」と呼ばれています。

スワップポイントの金利は取引所によってまちまちですが、おおむね所有している仮想通貨に対して「0.05% / 日」ほどです。

√GMOコインのスワップポイント例

  • 1BTCをニューヨーククローズ(ニューヨーク時間の1日)持ち越した場合:1BTC×30万円×0.04%=120円

スワップポイントが無料の取引所もある!

なお、仮想通貨取引所の中でもスワップポイントが無料の取引所があります。

たとえば「ビットバンクトレード」という取引所では、スワップポイントが無料なので、長期的な資産運用を考えている方にはオススメできます。コツコツと貯蓄するような長期的な運用をお考えの場合は検討してみてください。ただし、スワップポイントが無料でも資本金が低い取引所は口座開設する際、よく検討する必要があります。

仮想通貨のリスク

その他の仮想通貨取引においてのリスクとは主に以下のようなことが挙げられます。

  • 店舗、人、現物がデジタルの世界に存在するものであり、現実に存在しないので信用性に欠ける。代表例がストリートに店舗ないこと。
  • 取引所の破綻および撤退により、資産がなくなる恐れがある
  • コインの種類に一貫性がないので、たとえばハードフォークが実施された場合、新コインが付与されるのかが問題視される
  • 同様にハードフォークやソフトフォークが実施された際、エラーによって運営システム全体が異変をきたし、システムすべてが崩壊する恐れがある
  • 価格の変動(ボラティリティ)が株やFXと比較して大きすぎる(通常は約10%。仮想通貨は10%から30%)
  • 税金に分離課税の適用がなく、区分が雑所得なるので最大で約55%も納税が必要になる。また税金控除が困難
  • 急成長した業界なので法整備が整っていない。したがって著名団体や著名人といった個人の発言によっておもわぬ規制が施行されたりする
  • 同様にもともと国の規制を受けない独自通貨という名目があるので法整備が整っていないことから思わぬ詐欺に会っても損失したものが戻ってこない可能性が大
  • 仮想通貨自体の歴史が浅いので、たとえば詐欺にあった場合でも勝訴に紐づく前例(判例)が少ないので訴訟が困難
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